去勢・避妊手術
去勢・避妊手術はなぜ大事?
犬や猫の中齢以降に急増する病気として、精巣腫瘍、肛門周囲腺腫、前立腺肥大、子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、卵巣癌、乳腺癌、などがありますが、これらはいずれも生命を危険にさらす病気です。
「本来、動物の体にもともと備わっているものだから除去する必要がない」とお考えの方がいると思いますが、それは動物の寿命が短かった昔の話であり、長寿化した現代ではその重要性は変化しています。
私たちは、性ホルモン(精巣や卵巣が分泌)に由来する病気で苦しむ動物を非常に多く治療してきました。
医療研究の報告としても、「性関連組織の腫瘍化は性ホルモンと高い相関を示す」という結果がでています。
来院される方全員、精巣や卵巣を摘出していません。
避妊・去勢手術を懸念する多くの方は「動物がかわいそう」という理由を持たれているようですが、病気が発症してから対処すると動物により大きな負担を強いることは避けられません。
私たちは、悲しい現場を知っているからこそ、それを避けるため、また、動物に寿命を全うするまで元気でいてほしい、という願いからこの手術の重要性をご説明しております。
手術について不安やご心配がおありでしたら当院でご理解いただけるまできちんとご説明いたします。
もし将来、子孫を残すつもりがないのなら、性ホルモンの悪影響が及ぶ前(若いうち)に手術をする事をお勧めします。
卵巣子宮摘出手術(避妊手術)
避妊手術とは、雌の動物の体内から卵巣及び子宮を外科的に摘出する手術です。
メリット及び目的
子宮蓄膿症、乳腺腫瘍および内分泌疾患など、生殖器や性ホルモンに関連した疾患を予防できることにあります。
但し、乳腺腫瘍は避妊手術の時期が遅くなると予防できない事もあり、初めての発情がくる前に手術すると9割以上予防できると言われています。
精巣摘出手術(去勢手術)
去勢手術とは、雄の動物の体内から造精器官である精巣を外科的に摘出する手術です。
メリット及び目的
前立腺肥大、肛門周囲腺腫、精巣腫瘍および内分泌疾患など、生殖器や性ホルモンに関連した疾患を予防出来ます。
但し、前立腺肥大は去勢手術の時期が遅くなると予防できないこともあり、生後1年以内に手術をすれば、これらの病気は9割以上予防できると言われています。
術後の痛みケア
私たちは長年培った経験から動物の症状や術後の経過を見ると、どれだけの痛みを伴っているかを敏感にキャッチすることができます。
ですから手術後には、痛い、苦しいなど言わない動物たちの負担を軽減するため、持続定量点滴し、絶え間ない痛みのケアを行います。
点滴は術後のトラブルを軽減する効果もあります。
術後の栄養管理
避妊・去勢手術ともに卵巣または精巣を失いますので、今までそれらが消費していたエネルギーが余ります。
それにより、まれに肥満傾向になる子もいますが、食事量を適切に設定することで管理ができます。
その他ご不明な点はご来院時にお尋ねください。