ユニベッツBLOG
猫の糖尿病
この記事のポイント
- 猫の糖尿病の大きな原因は、生活習慣
- 完治することはなく、食餌管理で血糖値を一定することを目指す
- 治療に不安なことがあれば、セカンドオピニオンの受診を
血糖(ブドウ糖・グルコース)は血液の中にあり、全身の細胞組織の重要なエネルギー源となっています。食事によって、そのグルコースの材料となる栄養素を消化吸収し、栄養素から作られたグルコースを元に全身の運動や活動を行っています。
血液中の血糖値は、多すぎても少なすぎても全身の活動に悪影響が出るため、血液中のホルモン(内分泌物質)によって調整をされています。血糖値を上げるホルモンは、膵臓のランゲルハンス島α細胞から出るグルカゴン・副腎皮質から出るコルチゾール・副腎髄質から出るアドレナリン・脳下垂体から出る成長ホルモン・甲状腺から出るサイロキシンなど、いくつかの臓器から分泌されています。このうちどの器官に障害が起きても、血糖値を上昇させる方法は他にあるということです。
一方、血糖値を下げるホルモンは、インスリンしかありません。インスリンは膵臓の中にある細胞群である、ランゲルハンス島のβ細胞と呼ばれるものから血液中に分泌されます。
糖尿病は、インスリンで下げていた血糖値が抑えられなくなり、様々な病気を引き起こす病気です。インスリンが作用しなくなる原因には2パターン考えられます。ひとつは、β細胞に何らかの障害が起こりインスリンの出が少なくなることで、血糖値が高まってしまう状態、もうひとつは慢性的な肥満などが原因で全身の細胞がインスリンを受け取っても作用させることができなくなり、血糖値が高くなり続ける状態、この二つが考えられます。
ヒトの2型糖尿病は食べすぎや、運動不足、肥満などが原因で、筋肉や内臓などの細胞がインスリンに対して反応が鈍くなり、血中の糖が取り込まれにくくなる状態です。猫における糖尿病の多くは2型糖尿病と同じような病態を示します。猫ではオスの方が糖尿病になる確率が高いようです。また高齢になるほど発症率が高まります。
糖尿病の症状
猫の糖尿病として次のような症状があります。
- 多飲多尿
- よく食べて、太っている、お腹が膨れている
- 食べているのに急にやせた、急激に体重が減った
- 後ろ足が変、歩き方が変、かかと(飛節・ホック)を地につけて歩く
- 呼吸が早い、浅い
次のような症状の場合、糖尿病を原因とした重度の病気(糖尿病性ケトアシドーシス)の可能性があります。異常があった場合はすぐに動物病院に来院してください。
- 元気がない、食欲が無くなった
- 嘔吐、下痢
- 深い呼吸(クスマウル呼吸)をする
- 日中眠ったようにじっと動かない、意識がない
糖尿病の検査
血液検査
血糖値をはじめとした、血液検査を行います。
血糖値は食事をすると健康な子でもあがるため、空腹時に測定する 必要があります。半日検査入院して、食前と食後とインスリンを投与しての 血糖の変化の測定(血糖値曲線)も行うかもしれません。
また、糖尿病は他の病気を併発することが多いため、全身の状態を診る生化学検査も行なうことが多いでしょう。
検査の結果だけでなく、臨床症状を含めて糖尿病かどうか診断します。
糖尿病の治療
猫の糖尿病の場合、多くは食餌療法と体重コントロールで管理します。
低脂肪・高線維フードや、高タンパク・低炭水化物フードなどを用います。ですが、猫は匂いや食感などに敏感で、フードを変えると食いつきが悪くなることがあります。どのように食事を与えるかは、獣医と相談してください。
場合によっては血糖値コントロールにインスリン投与を選択する場合があります。
糖尿病は治すことができない病気です。血糖値管理を続けていく必要があります。糖尿病そのものは大きく健康を損ねるものではありませんが、命や生活の質に関わる重大な病気を呼び込むため、毎日の血糖コントロールがとても大切な疾患です。
まとめ
糖尿病の治療・管理に不安な点などありませんか。ユニベッツ福岡では、セカンドオピニオン外来を設けております。もっといい治療方法があるかもしれない、本当にこのまま続けていった方がいいのか心配、今さら主治医に言えない治療方針の不安を解消したい、どんな些細な心配事があってもかまいません。飼主様が自信と確信を持って、ペットの治療に専念できるようにサポートいたします。