手術って怖い!?
手術、と聞くと怖い、痛い、という印象を持たれているかと思います。ユニベッツでは可能な限り痛みを小さく出来る方法や、麻酔をかける時間を可能な限りに短くする方法を選択し、動物に与える痛みや苦しみを小さくする努力を日々研鑚しています。痛みや苦しみを小さくすることを医療用語では「低侵襲医療」と呼び、ユニベッツにおける医療方針の大きな柱のひとつとなっています。
避妊手術そのものにかかる時間は10分~20分ほどです。手術を開始するための麻酔や、麻酔から覚める時間も含めると1時間ほどで終了します。その後、目が覚めていても完全には麻酔が抜けきらずフラフラすることはありますが、翌朝には元気に退院しています。
なぜ避妊手術?
避妊手術の目的は、メス猫の子宮と卵巣を取り除き、繁殖能力を失わせることと、女性ホルモンの分泌を断つことです。女性ホルモンが引き起こす病気は、ときに命に関わる重大なものが多いですが、そのリスクを避妊手術によって格段に下げることができます。
避妊手術により予防できる病気には以下のようなものがあります。
子宮蓄膿症
子宮に細菌が侵入し感染し、膿がたまる病気です。はじめは無症状ですが、嘔吐や食欲減退、多飲多尿、元気消失などが見られます。膿がたまりすぎると破裂し、腹膜炎を起こして死亡する怖い病気です。
すぐに手術すれば助かりますが、あらかじめ子宮と卵巣をとっておけば、子宮蓄膿症を発症することはありません。
乳腺腫瘍
いわゆる乳がんです。猫の乳腺腫瘍は8~9割の確率で悪性と言われています。若いうちに避妊手術をすると女性ホルモンの分泌が抑えられるので、乳腺腫瘍の確率がかなり低くなります。
卵巣腫瘍、卵巣嚢腫
卵巣腫瘍とは、卵巣がんのことです。卵巣嚢腫とは、卵巣の細胞の過形成です。避妊手術では子宮と卵巣を取り除くため、卵巣の病気のリスクはなくなります。
一方、避妊をすることにより起こり得るデメリットは次のようなものがあります。
- 体重増加
- 麻酔をかけることのリスク
- 繁殖ができなくなる
避妊手術の事前検査
血液検査
麻酔をかけても問題がない体質かどうか、血液検査で血液や内臓の状態を診ます。
症例
日本猫 0歳8か月頃 7か月前に保護 保護してからは室内飼い かなりのビビリちゃん はじめての発情期にはものすごく大きな声で鳴いていたため、避妊手術を希望。
事前検査
猫エイズ/猫伝染性白血病:陰性 血液検査:アミラーゼやや高いものの、問題なし。麻酔可能。
手術当日
朝から絶食絶水。午前10時に来院いただき、問題が見られないため予定通り手術実施、お預かり。
午後12時頃、食餌も飲水もしていないため、皮下補液。毛刈りはかなり怖がったため、猫・ヒトともに危険を避けるため、麻酔をかけてから刈ることに。
午後12時半頃、入院室から処置室へ移動。鎮静薬を注射で投与してから、気管挿管。麻酔開始。麻酔下で術野(腹部)を毛刈り。
午後12時45分、毛刈り完了。処置室から入院室に移動。術野の切開線を丁寧に消毒。術野だけが露出するように滅菌ドレープ(覆布)をかける。
午後12時55分、手術開始。執刀医1名、麻酔医1名、外回り助手2名。メスと電気メスで3cmくらい切皮し、子宮と卵巣を取り出し、左右の子宮間膜をシーリングしながら切除、次に子宮頸管を糸で結紮し、切除。子宮と卵巣を摘出。
午後13時05分、縫合、麻酔オフ。手術終了。
午後13時20分、麻酔から覚醒、抜管。手術室から入院室に移動。以後10分おきに様態と出血チェック。患部をなめないようにエリザベスカラーを装着。
午後5時、通常量の1/3の食餌。完食。
手術2日目
朝食を完食。異常なし。午前11時頃、飼主様がお見えになられ、退院。ご自宅でもエリザベスカラーをつけたまま生活していただきます。
手術10日目
経過良好。傷も塞がり、縫合糸を抜糸。エリザベスカラーも外し、終了です。
術後
避妊手術をしたため発情期もなくなり、ルルちゃんへのストレスも軽減され、以前より穏やかな性格になったそうです。
避妊手術:ユニベッツの手術室
小さな病院では獣医1名だけで、処置室などで手術用ガウンを着ずに簡易的に行う病院もありますが、ユニベッツでは正式な手術と同様に、術前に手術室を全面消毒、手術用スリッパに履き替え、手術用スクラブ・ヘアキャップ・手術用マスクを装着、執刀医は滅菌ガウン・グローブを装着し、術野が露出するように滅菌ドレープをかけ、厳重な衛生管理のもと、執刀医1名、麻酔医1名、外回り助手2名の計4名体制で手術します。
比較的簡単な手術だからといって慢心せず、何かアクシデントが発生しても、適切に対応がとれる体制を整えております。
地域猫の場合、避妊手術済みであることを表す、左耳先の「V字カット」も承ります。事前にお申し出ください。
手術室は大きくガラス張りになっており、ビデオカメラも備えております。待合室から手術の様子をガラス越しやTVモニタでご覧いただけて、安心です。
術後:避妊手術を終えたら
術後、ホルモンバランスの変化により体重増加が見られることがあります。食餌量を減らすか、避妊用のフードを与えることをおすすめします。
ユニベッツで避妊手術をされた方には退院時に、避妊用フードのサンプルをお渡しいたします。(ロイヤルカナン社・フィーメールケア)ユニベッツ院内の飼育動物や、入院患者にも使っている、信頼性の高いペットフードです。ルルちゃんも避妊後ずっと食べています。
◆ユニベッツ福岡での猫の避妊費用(税別)
¥22,000
1泊2日の入院料・内服薬料・抜糸料込み
点滴料(必要な場合):3,000円~
事前検査
初診料:1,800円(登録済みの場合、1,000円)
血液検査:5,300~8,800円
ユニベッツ福岡での猫の避妊手術件数はこれまでで累計1,000件超。痛みも小さく、安心の設備、確かな技術。数多くのご家庭で、新しい家族と楽しく健康に生活できるサポートには、ありがたいことに高い評価をいただいております。